生きることの意味【完結・加筆完了】

生徒の波に飲み込まれながら、駅を出ると通学路を歩く。



「今日学校終わったら杏奈の事迎えに来るよ」

「校門で一人でいると、ナンパされるかもよ」

「あー。うざいな、それ」

「でしょ」

「それでも、迎えに来るから」

「……うん」



嬉しいな。そう思って顔を上げたあたしは前にいるグループを見付けて、顔が強張った。
……香奈。それに、あたしをいじめてるグループのリーダー彩加と、南津子。



「杏奈?」

「……」



突然俯いたあたしに緋人は気付いている。
だから、顔を覗き込みながら優しく声をかけてきた。


なのに。それに返事をする事が出来ない。
喉が張り付いて声が出ない。


それに何かを察したらしい緋人は、顔を上げて真っ直ぐに前を見た。



「あいつら?」


そう言って、緋人は繋ぐ手に力を入れた。
痛いぐらいの強さに少しだけ顔を顰める。
< 150 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop