生きることの意味【完結・加筆完了】
「堂々としてろ」
「……」
「彼氏だって、自慢してやれよ」
「……」
「そうする為に杏奈は俺と付き合ってんだろ?」
そんな言葉があたしの頭上に降って来て、思わず顔を上げる。
緋人は責める表情なんかしてない。
眉を八の字に下げて、こっちを見て微笑んでいる。
その顔にちくっと胸が痛んだ。
そうだよ。あたしはその為に緋人と付き合ったんだ。
好きとか思ってないのに、緋人の彼女をしてるのは。
……あいつらを見返してやりたいから。
ぎゅうっと緋人の手を握り返すと、ぐっと顔を上げて真っ直ぐにあいつらを視界に捉えた。
さっきまでの怖いっていう気持ちは薄れていた。
代わりに芽生えた、負けたくないっていう気持ち。
心臓の鼓動は確実に速くなっていったし。
頭には何も浮かんでこない。
だけど、足を前へと進めた。
少しずつ、三人と距離が近付く。
緋人は何も言わなかったけど、あたしに黙って付いて来てくれた。
三人の横を通り過ぎた時だ。