生きることの意味【完結・加筆完了】

何か用があるのか。
あたしは話す事なんてないけど。


香奈に裏切られたのが、一番許せないんだから。

遠慮がちに香奈が口を開く。


「あ、あのさ、杏奈」

「……何」


出た声の冷たさに、自分自身が一番驚いた。


「実は、ね」



そうやって、香奈が顔を上げた瞬間だった。


「何してるの、香奈」


背後から彩加の声が届く。
それに、びくっとなりながら顔を強張らせた香奈。


「行くよ」

「う、うん」

「ちょっと、香奈?」


香奈はすぐに彩加の元へ向かおうと足を動かす。
横をすり抜けた香奈を呼び止めるが、立ち止まる事はなかった。



……意味不明。どういう事。


言いたい事があるなら言えばいいのに。
別に今更香奈に何か言われたって、傷付いたりなんてしないのにな。

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