生きることの意味【完結・加筆完了】
あははって渇いた笑みしか出ない。
相変わらず、凄い人気。
でも、やっぱり一般人ではないわけだし。
あたしはその人だかりから少し離れた所で、緋人の事を見つめていた。
何だろう、近付けない。
別にあたしが遠慮する必要なんてないのにな。
そんなあたしに緋人が気付いた。
「あ。杏奈」
そう、ぽつりと呟くと他の皆も一斉にあたしの方を振り向いた。
それから、緋人は「彼女だから、ごめんね」と言って人だかりを掻き分けて来る。
「……」
やっぱり緋人はちゃんと、あたしを彼女って言ってくれる。
どんな相手でも。
それが嬉しくないと言えば嘘になった。