生きることの意味【完結・加筆完了】


でも、そこには同時に優越感というものがある。


女の子に囲まれてる緋人を見て、苛立つような嫉妬心は持ち合わせていないのに。
嬉しさ。きっと、これは優越感から来るもので、緋人を好きだからではない。



すぐにそれに気付いてしまって、笑顔の緋人を直視出来なかった。



「杏奈、帰ろっ」

「……うん」

「ん?どうした?」

「ううん」



そんな醜い気持ち、バレたくなかった。
桜井さんもあたしが彼女で喜んでくれてたのに。


チクチクと胸が痛む。
あたし、緋人は長く付き合えない。


漠然とそれだけは感じていた。



「どうだった?今日」


二人きりになって、緋人がそう尋ねてくる。
あたしは笑顔を作りながら、


「彩加があたしとまた仲良くしようって言って来たよ」

そう答えた。


それに、緋人があからさまに顔を歪めた。
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