生きることの意味【完結・加筆完了】
「何かされそうになったら、すぐに電話をして来ること」
駅に到着した緋人は、さっきから何度もこう言って来る。
……これじゃあ、彼氏ってよりも保護者だ。
「大丈夫だって。もう、緋人は心配し過ぎ」
「それだけ好きだって事。わかれよ」
「……」
よくもまあ、こういう事を平気で言えるもんだ。
あたしは顔を赤くしながら、緋人から視線を逸らした。
頭上で駅員のアナウンスが聞こえる。
どうやら、そろそろあたしが乗る電車が来るみたいだ。
「あ。もう電車来た。ちっ。まじではええわ」
「今日、頑張ってね」
「ああ。打ち合わせだから、適当にやるよ」
「あはは。そっか」
とかなんとか言いながら、きっと緋人は真剣に受け答えするんだろうな。