生きることの意味【完結・加筆完了】
「ちょ、ちょっと待って!一人暮らしって何」
「そのまんま。俺、高校こっちのが近いし、モデルするにも丁度いいし。
親に頼みこんだ」
「……」
「大丈夫、今日は何もしないから」
「ち、ちが」
「そんな真っ赤な顔してるくせに何言ってるの」
「え」
バっと手を頬に当てると、緋人がぶはっと吹き出した。
「赤くはないよ?やっぱ意識してたんだ」
「からかったな!!するに決まってるでしょ!!」
「からかってないよ。杏奈の顔がさっきから強張ってるからさ」
「それは」
確かに、緊張で笑えてなかったと思うけど。
今、緋人にからかわれて少しだけ力が抜けた感じがした。
「杏奈、そのまんま俺の事好きになっちゃえばいいのに」
ふっと自嘲気味に笑うと、緋人が踵を返す。
それから、リビングに入りソファに腰をおろしていた。
「……」
その言葉の意味を、痛いほど理解してるけど。
だけど、肯定する事なんて出来なくてただ、あたしの顔が歪む。