生きることの意味【完結・加筆完了】
「杏奈って本当に今時じゃないよな」
「それって褒めてる?」
「褒めてはいる」
「何、その微妙な言い方」
「そっちのがいいんじゃね?」
「そうかな」
「俺は思うよ。誰かと一緒なんてつまんないしね」
緋人は微かに遠い目をしている。
何かを思い出しているのだろうか。
「あ。俺の髪の色とか、それも誰かと一緒でいたくなかったからってのもあるよ」
「そうなの?」
「緋色なんてそうそういないしな」
「確かに」
緋人はモデルじゃなくたって、目立つと思う。
この顔立ちで、手足も長くて、引き締まってる身体だ。
それに緋色の髪の毛。
あたしはそっとその髪の毛に手を伸ばす。
無意識だった。
何故か、その髪の毛が触りたくなったんだ。
サラリと想像以上に柔らかい緋人の髪の毛の感触。
緋人は驚いた顔であたしを凝視していた。