生きることの意味【完結・加筆完了】
それに瞼をゆっくりと開ける。
目の前にいる緋人の顔を見つめた。
少しだけ眉を下げて微笑む緋人。
「そんなガチガチの杏奈に、何かしようとか思わないよ。
俺、杏奈の事好きだし。だけど、さっきのは結構ドキッとしたから。
他の男にはするなよ?」
「……」
あたしは素直にコクコクと頷く。
すると、緋人は呆気なくあたしの身体を解放してくれた。
「さ。映画見よう、映画」
リモコンを手にした緋人は映画をつける。
一応、隣に腰かけたあたし。
映画が始まると、緋人は無言で画面に集中していた。
結局、エンドロールまで何事もなく終わってしまった。
あたしも最初はドキドキしていたけど、いつの間にか映画に夢中になっていたからどうしようもない。
「面白かったー。杏奈は?」
「面白かった!!」
「お。それはよかった」
普段はあまりアクションなどを見ないけど、これは面白かった。
カーチェイスなどのスリルと犯人が最後までわからないミステリーが、画面に釘付けにさせた。