生きることの意味【完結・加筆完了】


「ごめん。急な打ち合わせが入っちゃったみたいなんだよね」

「すぐ行くの?」

「うん。この埋め合わせは必ずするから」

「いや、平気だよ。気にしないで。仕事なら仕方ないし」

「てか、俺が行きたくないんだけどね」

「それだけ緋人が人気って事じゃん。喜びなよ」


実際、あたしは残念よりも嬉しい気持ちの方が強い。
緋人と離れたいとか、そういう事じゃなくて、緋人が求められてる事がただ単純に嬉しかった。


モデルの緋人がもっと人気出ればいいのに。
そう思ったから。



「何だよ、それ。ちょっとは緋人と一緒にいたいー。やだー。とか言ってくれないのかよ」

「言わないでしょ」

「別にわかってるけどさ。ちょっとぐらい残念そうにして欲しいわ。
そんな笑顔で言われたら、何も言えなくなっちゃうじゃん」


口を尖らせて拗ねたように言う緋人に、あたしは吹き出した。
そんなあたしに緋人は更に拗ねてたけども。

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