生きることの意味【完結・加筆完了】
「おお!緋人!それと杏奈ちゃん」
「おはようございます、桜井さん」
笑顔で出迎えてくれたのは桜井さんだ。
相変わらず、ピシっとした洋服がカッコいい。
シャツにオシャレなスカーフを首に巻いて、グレーのスラックス。
スタイルがいいから、本当に似合う。
「そうだ、杏奈ちゃんにも紹介したかったんだよね。うちのもう一人の看板モデルの……。
って、あれサトルは?どこ行った?」
キョロキョロと周りを見渡しながら、桜井さんはサトルさんを探す。
でも、さっきサトルさんはエレベーターに乗っていた。ここにいるはずがない。
「ああ、それならさっきエレベーターで会いましたよ」
さらっと緋人が口にすると、桜井さんは驚いた顔で「まじで」と言っていた。
「そろそろ撮影だって言ってんのに。全く。サトルは自由人だな」
「まあ、いいか」と溜め息混じりに呟いて、桜井さんは立ち上がった。
それから、テキパキと指示を出して行く。
緋人はヘアメイクや、着替えの為に一度あたしの側から離れる。
行く間際、「一人になるなよ」と念を押されたけども。