生きることの意味【完結・加筆完了】
「いいねー。サトル、もっと笑って」
「えー?今俺、笑ってた?」
「サトルは笑った顔のが人気なんだよね」
「そうー?でも、たまに見せた方がよくない?」
「まあ、それもあるけど。今の顔よかった」
「でしょ?」
そう言うと、サトルさんはあたしをまた見て目を細めた。
すぐさまあたしは彼から目を逸らす。
なんだ、あの人は。危険すぎる。
緋人に言われた言葉をあたしはひしひしと感じていた。
撮影が進み、サトルさんが衣装を変える為に捌けて、緋人だけの撮影に切り替わった。
緋人の鋭い視線。
挑発する様な瞳。
サマになっているポージング。
全てがカッコよくて、夢中で緋人を見つめていた。
だから、横に誰かが来たのに気付かなかった。
声をかけられるまで。
「クールだよねえ。紙面だと、彼は」
突然話しかけられて、ビクっとしながら肩を揺らす。
それから、その人物を見上げる。
……サトルさん。