生きることの意味【完結・加筆完了】


声をかけようか迷ったけど、緋人に強引に手を引かれてそのタイミングは完璧逃してしまった。


サトルさんが危険人物ってのは、嫌という程理解出来た。
初対面なのに、あそこまでオープンなのが凄い。


これでも一応緋人の彼女なのに、彼には遠慮っていう言葉がない。
カッコよかったし、モデルとしてのオーラはびんびんに感じたけど。


……あたしは好きになれそうにない。


事務所を出て、エレベーターに乗り込む。
扉がゆっくりと閉まって、密室になった瞬間。


ぎゅうっと緋人があたしの事を抱き締めた。



「えっ、ひ、の……」


動揺して、言葉がうまく出せない。


どうしたの、いきなり。
強引に剥がそうと思ってたのに、その手は寸前で止まった。


あたしの肩に顔を埋めている緋人の身体が微かに震えていたからだ。


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