生きることの意味【完結・加筆完了】
「……緋人?」
どうしたの?そう、言う代わりに緋人の名前を口にする。
「お願いだから。俺から離れんなよ……」
震えたその声が、あまりにも弱弱しくて。
あたしの胸がぎゅうっと締め付けられて痛くなった。
「……あたしは見た目だけで好きになる人間じゃないよ」
「うん、知ってる」
「それに、緋人の方がカッコよかったよ」
「……知ってる」
「いつももっと自信満々じゃん」
「うん」
「あんな男より、俺の方がカッコいいだろ?って言ってみなよ」
「……」
「そしたら、笑ってあげるから。そーだねって」
「……杏奈、好き。大好き」
「うん、知ってる」
「会った時よりも、もっともっと大好き」
「うん」
「どうしようもないぐらい、杏奈が好き」