生きることの意味【完結・加筆完了】
「な、んでもない」
「どこが何でもないんだよ。問題あるだろ」
「……放っておいて」
「無理。そんな涙流してる杏奈放っておけるわけねーじゃん」
緋人はあんなに輝いてるのに。
スタジオで、あんなにカッコよくて眩しいのに。
いい点数取れたら緋人と釣り合えるかもしれない?
どこがだ。
その土俵にすら立てない。
自分をイジメた人間とあたしは同等なのに。
「もう、放っておいてよ!」
思った以上にでかい声に、ハッとした。
「……どうしたんだよ、俺に言えないのかよ?」
そんな悲しそうな顔しないでよ。
緋人だって、あたしに何も話してくれなかったじゃん。
サトルさんと何があったとか。
その全てが悔しくて。
何であたしはこうなんだろう。
「……あたしなんて、あの時に死んじゃえばよかったんだ」
思わずぼそっと呟いてしまった声は、もう取り消せない。
元には戻らない。