生きることの意味【完結・加筆完了】

暫く、あたしはその場から動けなかった。
壁に寄りかかると、肩を掴んで俯く。


涙すら出ないとか、別にあたし緋人の事好きじゃなかったのかな。


別れを告げられたのに、涙が出ない。
その衝撃があたしを包みこんで、何も考えられなかった。


ホームにはうちの学校の生徒はもうほとんどいない。
代わりにスーツ姿のサラリーマンが増えた。


……どれだけここにいたんだ。
一時間以上ここにいたのか。


ぼーっとしながら時計を見上げる。
それから、次に到着した電車にあたしはやっと乗り込んだ。


家に着いてからも、心ここにあらずで、食欲もなかったから早々に眠りに就いた。


布団に潜って目を閉じる。
嫌でも浮かぶのは緋人のあの無表情の顔。

それを見たくなくて、あたしは目を開けた。


香奈の事、もうどうだっていい。
彩加と南津子はきっと変わらない。


それに、香奈だって今更あたしが助けようとしたって、嬉しくなんかない筈だ。
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