生きることの意味【完結・加筆完了】
やっぱり今日も香奈は休みだったし。
わかってたけど、緋人からの連絡もない。
だからって、自分から連絡を取る勇気もない。
放課後。憂鬱な気持ちのまま、前田さん達に別れを告げて一人で帰ろうと校門へ向かうと。
何やら校門に人だかりが出来ていた。
……え?
人だかり?何で?
まさか、緋人?いや、ないない。
だって、昨日あたしは振られている。
きちんとした恋人同士だったわけじゃないから、振られるって表現もおかしいけど。
それでも、どこか期待してその人だかりの中心にいる人物を見つめる。
そして、目を見張った。
あの、緩やかなパーマのかかった黒髪。
屈託ない笑顔。
隙のないスタイル。
……間違いない。あれ、サトルさんだ。