生きることの意味【完結・加筆完了】
「な、んですか」
「えー、何が?」
「あたし、遊びません」
「それは却下!」
「ちょっと!」
どんなにあたしが凄んでみても、彼には一切効かない。
もう、何でこんなにマイペースなの。
「あ」
彼は何かを見付けたのか、またぐいっと腕を引っ張る。
それに顔を思いっ切り顰めた。
だけど。
「杏奈ちゃん。座って。どーぞ」
そう言ったサトルさんに、あたしは目をぱちぱちとさせた。
確かに、長い座席の一番端っこに一人分座る場所がある。
ニコニコしながらそこに誘導したサトルさん。
「……だ、いじょうぶです」
「いや、結構走らせたでしょ。疲れただろうし、ハイ。座る」
そう言われて、半ば強引に座らせられた。
……なんなの。この人。
勝手なのか、優しいのか、わかんない。