生きることの意味【完結・加筆完了】
「今日も本当は車で来るつもりだったけど、車だったら杏奈ちゃん警戒して絶対乗ってくれなかったでしょ?」
「……はい」
迷ったけど、嘘を吐く必要もないか。と、正直に頷いた。
すると、サトルさんは面白そうに笑う。
「あはは。やっぱり」
「やっぱりって」
「まあ、それでも無理矢理車に乗せたと思うけど」
「……」
そう言って、無邪気な笑顔を見せる。
やっぱりこの人、危険過ぎだ。
有名なショッピングモールのある駅に到着すると、「着いたー」と言ってサトルさんはあたしの手をぎゅって握った。
手を繋いだまま、電車から降りて改札へと向かう。
「ちょ、ちょっと、手!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。それに離したら、逃げそうだし」
「逃げませんから離して下さい!」
「本当に?」
あたしを疑いの眼差しで見つめるサトルさんに、
「絶対に!」
そう念を押すと渋々手を離してくれた。