生きることの意味【完結・加筆完了】
「……俺、わかるよ」
「え?」
ぼそっとそれは呟かれたから、最初うまく聞き取れなかった。
サトルさんはそのまま、話を続ける。
「俺もイジメられてたし」
「えっ、嘘ですよね?」
「まじ。って言っても、その時は中学だったけどね」
「……信じられないです」
「まあ、まだ俺垢ぬけてなかったし。ださかったから。
それで学校行かなくなって、街ぶらぶらしてるとこをスカウトされたんだよね」
「そうだったんですか」
「最初はたまに呼ばれる読者モデルの域を越えてなかったよ。
それが悔しくて、結構努力した。俺、これでも看板になるまでの下積み長いから」
ははって掠れた声で笑うサトルさんは、いつもの雰囲気なんてなかった。
おちゃらけてる感じもなくて、あたしも真剣に相槌を打つ。