生きることの意味【完結・加筆完了】



「緋人はあたしに幻滅してしまったかもしれないけど、あたしは緋人が好きです」

「それを、俺に言っちゃっていいわけ?全力で邪魔するかもよ?」

「それでも、構いません。負けません」

「そっかー。でも、それじゃ面白くないんだけど。俺」

「面白くなくていいですよ」

「杏奈ちゃんが俺と付き合ってくれたら、もう緋人に何もしないって言ったら?」

「えっ」



言葉に詰まったあたしを見て、サトルさんはおかしそうに口元に孤を描く。



「杏奈ちゃん、なんか変わってるから興味持っちゃった。どう?」

「……すみません。無理です」

「何でー?杏奈ちゃんが付き合ってくれたら、俺仕事にも協力的になっちゃうのに」


それに、くっと喉を鳴らして笑う。
サトルさんはわかってて言ってるのか。それとも無自覚なのか。

もしも、無自覚なら相当タチが悪い。

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