生きることの意味【完結・加筆完了】
「緋人はあたしが好きなんですよ。今も、同じ様に好きでいてくれてるかなんてわからないけど……。
それでも、そんなあたしがサトルさんと付き合ったらどれだけショックを受けるかわかりません」
「あっはー。バレてた?」
舌をぺろっと出しておどけるサトルさん。
やっぱりわざとか。本当に、この人は。
「あたしを誘惑しても無駄ですよ、サトルさん。
基本的にイケメンの部類好きじゃないんで」
「へっ。だって、緋人は」
「緋人は違うんですよ。なんていうか……、すっごく自分勝手でおかしいんだけど。
でも、優しくて、素直にあたしに感情をぶつけてくれるとこに惹かれたんです」
「イケメン好きじゃないとか、更に変わってるね。杏奈ちゃん」
「だって、サトルさんみたいな人いるし」
「あはは。そんな嫌な奴代表みたいにしないでよ」
「笑顔に騙されました」
「それ、よく言われる。別に俺悪くないと思うんだけど」
「無自覚ですか」
「だって、顔はどうしようもないしー」
へらって笑った顔は、どうしたってあんな発言する様に見えないのに。
女の子はこの顔に騙されてしまうんだろうな。