生きることの意味【完結・加筆完了】
「はい。きっと、このままサトルさんと仲良くしてたら今度こそ、緋人はあたしの側から消えちゃうと思うから」
緋人に別れを告げられて、あたしから涙は出なかった。
……それは、余りにもショックだったから涙を流す余裕すらなかったんだ。
今でも、緋人の顔が鮮明に浮かぶ。
そしてそれが胸をいとも簡単に締め付けて、痛めつける。
それでも、涙なんて出なかった。
泣けなかった。
泣きたいのは、きっと緋人だったと思うのに。
“一人の自殺志願者を、救ったんだから”
確かに、あたしは緋人にそう言ったのに。
自らそれを否定してしまったんだ。
どんなに後悔したって、もう遅い。
あたしが死んじゃえばよかったって言って、どれだけ緋人が傷付いたか。怒ったか。
あたしにはわかんない。
ただ、あの言葉は緋人の事なんて一切考えてない発言だったのは間違いなくて、自分が苦しさから逃れたいが為に吐き出したものだから。