生きることの意味【完結・加筆完了】
「香奈、いる?あたし、杏奈」
中から返事はない。
ただ、微かに部屋から音がして香奈が起きてるって事だけはわかった。
「返事しなくて、ごめんね。まさか、香奈がイジメられてるなんて知らなかったんだ。
謝ったって意味ないのはわかってる。けど、香奈は頼ってくれたのにそれを裏切ってごめん」
「……っ、何しに来たのよ!イジメられてざまあみろって思ってるんでしょ!」
中からそんな香奈の声がした。
それは思った以上に近くて、扉の前にいるのかもしれない。
「香奈が元々イジメられてたってのも聞いた。本当に知らなかった。
……辛かったよね、あたしも辛かったからわかる」
「っ、」
「あたしね、彩加や南津子にイジメられた事より何より、香奈にイジメられたのが一番辛かった。
だって、香奈は大事な友達だったから」
「……」
「でも、そんな大事な友達の香奈がイジメられてたのにも気付けなかった。
あたし、友達っ、失格だよね」