生きることの意味【完結・加筆完了】
『いないの!』
「え?」
『緋人が家にいないのよ!電話にも出ないし。貴方なら何か知ってるんじゃないかと思って』
「……」
『何か知らない?』
「いえ、わからないです」
『そう…、でももし何か連絡きたらすぐに電話ちょうだい』
「はい、わかりました」
時間を確認する。まだ朝の9時。
イベントは確か、昼の12時からだ。
あたしが準備して行くには充分時間があるけど、緋人は違うのだろう。
リハーサルとか、メイクとかもあるだろうし。
すぐに出かける準備をしたあたしは、家を飛び出した。
緋人に電話…かけるべき?
でも、連絡先消してって言われた。
なのに、電話とかかけるのおかしいかな。
……緋人の行きそうなとこって、どっかあるかな。
わかんない。
だって、あたしと緋人の過ごした時間ってのは果てしなく短い。
あたしはまだ緋人の事を全然知らない。