生きることの意味【完結・加筆完了】
さっきとががらりと雰囲気を変えている緋人は、髪の毛を思いっ切りアップにしている。
ノーカラーのグレーロングコート。
グレーのインナーにグレーのワイドパンツ。
全てグレーだったけど、微妙なコントラストが綺麗にまとまっていた。
何より、グレーによって緋人の髪の色がとっても映えていた。
「杏奈ちゃんじゃない!」
夢中になってるあたしに声をかけてきた人物は。
「桜井さん!」
相変わらず、キリっとしてカッコいい桜井さんだった。
「来てたのね」
「はい」
「どう?緋人」
「……もう、素敵過ぎてなんか胸がいっぱいっていうか」
「そうね。……このショーは成功よ。うん、やっぱり緋人にしてよかった」
「あ、あの」
「ん?何」
しみじみ呟く桜井さんに、あたしは尋ねる。
それは、サトルさんの事だ。