生きることの意味【完結・加筆完了】
「大丈夫、キスしかしないから」
「……」
「流石に俺だって心の準備出来てねえっつうの」
「余裕じゃないの?」
「ぜんっぜん。緊張してるって。俺だって」
「緋人でも緊張すんの?」
「俺をなんだと思ってるんだ」
「いやあ、あはは」
キッと睨まれたから、あたしは笑って誤魔化す。
だって、緋人っていつも自信満々だし、余裕そうだから。
女経験だって豊富だし。
「ドーテーとかそんな嘘は吐かないけど、俺本気で好きになったの杏奈が初めてだから」
「……」
「だから、変な事して嫌われたらどうしようとか、色々思っちゃうわけ。
これでもピュアだよ?俺」
「信じられない」
「ほら、酷いな。杏奈は」
前にも足を踏み入れた事のある緋人の部屋。
相変わらず、微妙に散らかってる部屋。
汚いわけじゃないんだけど、雑誌とかが落ちたりしている。