生きることの意味【完結・加筆完了】
元カノと一緒にいたのを見てるから、顔は知ってた。
その子が俺を誘惑して来たんだ。
奪うつもりなんてなかった。
気付けば、そうなってただけなんだ。
「彼氏いるじゃん」
「ええ。私、サトルの方が好きだもん」
「ふうん」
「カッコいいし。緋人っていいんだけど、優しくないから」
「俺は優しいって?」
「そう、サトルは優しいオーラ出てる」
「何それ」
「そのまんま」
「今、何考えてるか教えよっか」
「何?」
「……やっぱ秘密」
「ええ、教えてよ」
黙れ、アバズレ。クソビッチ。
俺は上からその女を見下ろし、笑みを作ると心の中でだけ呟いた。
別に俺が誘惑したわけじゃなかった。
勝手に向こうが俺のところに来たんだ。
それでも、手を出したのは俺だからやっぱり悪いんだろうな。