生きることの意味【完結・加筆完了】


それから、別の日に俺がその女と一緒にいるところを緋人に見られてしまって、女は面白いぐらい狼狽えていた。


それに引き換え緋人の反応は思ってたより薄くて、こっちが逆に驚いた。



「何してんの」


緋人の開口一番がそれだ。


「え。えっと、違うの、これは」

「遊んでただけだよー」


フォローする様に俺が言うと、女は慌てて俺に同意してくる。
だけど、嘘だってのはバレバレだ。


「へえ。遊んでただけね。ま、いいや。お前とは別れるから好きにして」

「え、待って、緋人」

「付いてくんな」



俺は二人のやり取りをどこか、他人事の様に見ていた。
浮気していた彼女をあっさりと手放す緋人。

残念そうな顔を一切しない。


そんな緋人の悔しそうな顔を見てみたい。


ただ、ぼんやりとそう思った。


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