生きることの意味【完結・加筆完了】
振って?
そう、緋人がぽつりと漏らすほど。
一面にひまわりの花が咲いていた。
息を整えながら、あたしもその光景を見つめる。
思わず息を呑む。
それほど、綺麗。
「…綺麗だなあ」
緋人は立ちつくしたまま、そう言った。
あたしもそれに返事はしなかったけど、同じ気持ちだった。
「なんか、自然ってすげえな」
「え?」
「こんな人を感動させるんだぜ。
こいつら集まって咲いてるだけなのに」
「………」
緋人は握りしめていた手を、ぎゅうっと強くする。
それから、あたしを見つめた。
「…杏奈、俺もそうなれるかな」
「……え?」
「誰かを感動させたり出来るかな」
緋人と言う、人間は。
軽そうに見えて。
実はとても、深いのかもしれない。