生きることの意味【完結・加筆完了】
勢いよく握った手を振りほどいてから、あたしは踵を返すと緋人を置いて足早に元来た道を戻った。
後ろで緋人がげらげら笑ってるのが聞こえる。
む、むかつく!!!
あいつ、折角見た目だけじゃなくていい男かもと見直したのに。
やっぱり脳内は、女(いや、性?)、食べ物、甘いものなんだわ!!
「待って~杏奈ちゃん~」
そんな調子いい声にもちろんあたしが振り向くことなんてなく。
走って追いついた緋人が、あたしの横に並びながら
「ごめん、ごめんって杏奈」
そうやって謝る。
あたしはキッと緋人を睨みつけると、緋人は肩をすくめた。
「あんたの彼女かもだけど、全然あんたのこと信用してないんだからね!!」
もう、緋人と名前を呼ぶのすら煩わしい。
「ありゃ、それは傷付くなあ」
「そりゃどうも」
「ねえ、まじで怒ってる?」
「…ええ、それなりに」
「何で?額にちゅって軽くしただけじゃん」
あんたからしたらそうかもしれないけど。