生きることの意味【完結・加筆完了】


勢いよく握った手を振りほどいてから、あたしは踵を返すと緋人を置いて足早に元来た道を戻った。
後ろで緋人がげらげら笑ってるのが聞こえる。


む、むかつく!!!
あいつ、折角見た目だけじゃなくていい男かもと見直したのに。

やっぱり脳内は、女(いや、性?)、食べ物、甘いものなんだわ!!


「待って~杏奈ちゃん~」


そんな調子いい声にもちろんあたしが振り向くことなんてなく。


走って追いついた緋人が、あたしの横に並びながら

「ごめん、ごめんって杏奈」

そうやって謝る。


あたしはキッと緋人を睨みつけると、緋人は肩をすくめた。


「あんたの彼女かもだけど、全然あんたのこと信用してないんだからね!!」


もう、緋人と名前を呼ぶのすら煩わしい。


「ありゃ、それは傷付くなあ」

「そりゃどうも」

「ねえ、まじで怒ってる?」

「…ええ、それなりに」

「何で?額にちゅって軽くしただけじゃん」



あんたからしたらそうかもしれないけど。

< 49 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop