生きることの意味【完結・加筆完了】
チンと言う音が鳴ってから、無機質なエレベーターの扉がゆっくりと開く。
数歩したとこに天国か、地獄か。
わからないけど、あたしを救い出してくれる扉がある。
その扉に臆することなく手をかける。
何の衝撃もなく、すっと開いた。
…あれ、鍵かかってないんだ。
思い切り壊す気でいたから、少し拍子抜け。
まあ、壊すよりいいか。
然程気にせず私は屋上へ足を踏み入れた。
夏っていえど、夜風がびゅんびゅん吹く屋上は少し肌寒い。
腕を擦りながらあたしはフェンスまで真っ直ぐに迷うことなく進む。
さらば、東京。
さらば、日本。
さらば、あたし。
綺麗にお気に入りだったパンプスを並べた後。
ガシャガシャと大きな音を立てながらあたしはフェンスによじ登る。
最高地点まで到達した時。
「おい、お前!」
ふいにそんな声があたしに降り注いだ。