生きることの意味【完結・加筆完了】
撮影
それから、あたしと緋人は撮影スタジオに向かうことになった。
暇潰しも出来るし、行こうよと緋人が言うから渋々頷いたのだ。
結局学校はサボッてしまった。
明日こそは行かないと。
一度行かなければ、ずるずる行けなくなることを分かっている。
「俺さ、彼女連れてくの実は初めてなんだよ」
「そーなんだ。……って、えええ!?」
まだ学校も終わってないこの時間帯の電車はガラガラだ。
だから、あたしと緋人は座席の真ん中に並んで座っている。
その電車に揺られながら、あたしは緋人の言葉に目を見開いた。
「だ、だって、彼女いた事あるでしょ!?」
「あーそりゃ、人並みに」
…この人の人並みは、人並みでない気がする。
心の中でそう悪態ついてから、また緋人の顔を覗きこむように見た。