生きることの意味【完結・加筆完了】

「……何それ。わかんない」

「うん、わかんなくて大丈夫。
ただ、俺は結構ヤワじゃないって事だけ覚えておいて」

「余計わかんない」

「あはは、杏奈はおバカちゃんでちゅか~」

「バカにするなーっ!」


ぶはっと緋人が吹き出して、あたしもそれに釣られてしまって、二人して声を上げて笑った。


久々に、こうやって笑ったかもしれないな。


いじめられてから、笑うって感情をどっかにやっちゃったみたいだったから。


「あー、杏奈面白い」

「またそうやってバカにして」

「バカにしてないって。可愛いって言ってんの」


緋人はニヤっとして真っ白い歯を見せながら笑うと、あたしの手に自分の手を絡め合わせる。
急に触れた体温に、体がびくっと揺れた。


「俺が可愛いと思ってるからいいんだ」


優しい瞳で見つめられてしまって、あたしはもう何も言えなかった。
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