生きることの意味【完結・加筆完了】
「ちょっと寝る」
「え。どこで起こせばいいの」
「んー三つ先」
「わかった」
あたしが頷くと緋人は肩に頭を乗せて来る。
重みがかかり、サラサラと緋人の緋色した髪の毛があたしの肌をかすめた。
とくんとくんと心臓が鳴るけど、それが心地よくて。
窓から差し込む日差しの暖かさも相まって、あたしの瞼はどんどんと下がって行く。
気付けばあたしの緋人の頭に寄りかかって、眠っていた。
気付いたのは終点に着いてから。
駅員さんに起こされて、あたしと緋人は目を真ん丸にしたんだ。
とりあえず、ホームに降りて二人無言になる。
「何で杏奈まで寝るの」
ぼそっとそう言われるけど、
「だって、眠くなったから」
素直にそう返す。