生きることの意味【完結・加筆完了】


ぎょっとした顔で、あたしを見る緋人。
あたしも自分の言った言葉を思い返して、口許に手を当てるとしまったって顔をする。



「あっれえ。杏奈ちゃん、俺の事気になっちゃってる感じ?」

「……いいえ」

「ふうん?」

「……」


うう、言い返せない。
だって、色々言われても実力の世界だって頑張る緋人はとってもカッコいいって思ったんだ。



それはあたしの素直な気持ち。



「テンション上がって来た」

「……」

「俺、今日の撮影頑張っちゃうからね?」

「お好きにどうぞ」



緋人の顔を直視出来ない。

照れた顔を隠す様に、あたしはコーヒーをぐいっと飲んだ。



「あ。電車来た」



やっとホームに滑り込んで来た電車に乗ると、座席に座る。
相変わらず、ガラガラで貸し切り状態だ。

< 69 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop