生きることの意味【完結・加筆完了】
一気に現実に引き戻される。
誰かいるなんて思ってもなかったから、動揺で足を踏み外しそうになった。
しっかりフェンスに捕まりながら、あたしは恐る恐る後ろを振り向く。
そこにいたのは。
真紅の髪の色をした、男の人だった。
月明りに照らされて、髪の毛が燃えてるように輝く。
逆光で顔は見えない。
「…だ、誰、ですか?」
思わず敬語になる辺り、弱気な自分に嫌気がさす。
そいつはじりじりあたしに近付きながら、うっすら見える口元を歪ませた。
「…死ぬ、気?」
その口元は孤を描いていた。
…笑って…る?
「……だ、だったらなんなの?」
カッとしたあたしがそう言うと、そいつは更にあたしと距離を縮めた。
手が届きそうなところまで近付くと、その顔がはっきりと見える。
逆も然り。