生きることの意味【完結・加筆完了】
「空いてるね」
「そうだね」
「杏奈って好きな人いた事ないの?」
「うん、よくわかんない」
「そうかあ。これからゆっくり俺の事好きになればいいよ」
「また、そんな事言って」
「ううん、本心。俺、杏奈に好きって言われたい」
「……思っても言わないかもよ」
「え!?それって卑怯じゃねえ!?」
眉根を寄せて、私を射抜く様に見る緋人。
少しだけ余裕のなさそうな緋人が面白い。
「だって、あたしをからかってばかりだし。
これぐらい許されるでしょ?」
「ダメダメ。からかってるのは杏奈が可愛いからじゃん?
それと好きって言わないのは違うから」
「あたしは言いません」
「俺が好きだって言われて幸せな気持ちになるって言っても?」
「……緋人って言い方が卑怯だよね」
「何とでもいいやがれ」
緋人は口を尖らせると、腕を組んでそっぽを向いた。