生きることの意味【完結・加筆完了】
「おお、緋人ー!来るの早くないか?」
デスクに座っていた女の人が、緋人に気付くと笑顔を向けた。
緋人は真っ直ぐにその人に近付いて行く。
もちろん、あたしと手を繋いだまま。
編集部の人からの視線が痛いほど突き刺さる。
誰、あれってのが視線だけで伝わって来る。
視線が怖い。
俯きながら、あたしはぎゅっと緋人の手を思わず握り締めてしまった。
ピクリと動いた緋人の肩。
こっちを一度ちらっと見ると、すぐに向き直る。
それから、ニッコリ微笑むと緋人はその女の人にカラっと明るい声で。
「コイツ、守る為に学校サボっちゃいました」
だなんて言ってしまった。
固まるあたし。
目の前の女の人も、驚いた顔を見せる。
当の緋人だけ、ケラケラと笑っている。
更に視線が集まった気がするんだけど。