生きることの意味【完結・加筆完了】
「見た目が好きとか、見た目以外どうでもいいとか言うヤツだったら、即刻追い出してたけど。
杏奈ちゃんはちゃんと緋人の中身見てやってるんだね」
「いや、そんな大それたことでは…」
まだ緋人を好きだとか思ってないし、寧ろ変な人だって思ってるのに。
ただ、見た目とは違って中身は嫌な人じゃないなとは思った。
「ううん、あるんだよ。
緋人を彼氏にしたいモデル連中なんてゴロゴロいるんだから。
自分のステータスの為にだけね。
だから、ちょっとホッとした」
「……」
胸がちくりと痛んだ。
こんなに桜井さんは喜んでくれてるのに。
あたしが緋人と付き合った理由を知ったら、きっとこの人はあたしを軽蔑するだろう。
「あんま杏奈の事いじらないでやってくれますかね」
「えー。いいじゃん。あ、そうだ!今度カップル特集するからさ、それに出ない?」
「嫌です。杏奈をそういうとこに出すのは嫌ですから」
「何でー。杏奈ちゃん、やらないかな?」
きっぱりと断った緋人から、あたしに視線を向けると桜井さんは素敵スマイルでそう尋ねて来る。
あたしは何も言えずに、緋人に助けを求めるだけだけど。