生きることの意味【完結・加筆完了】


「…なんだ、可愛いじゃん」

「……はあ?!」


素っ頓狂な声を上げるあたしを小馬鹿にするように、ふっと笑ってから。


「あんた可愛いのに死ぬの、もったいなくね?」


まだ、口許を緩めてそう言った。


「…な、何がわかるっての…?」

今日、たった今初めて会ったあんたに。
あたしの辛さとか。

何が、何が。

何がわかるんだ。


憎しみを込めて睨みつけるけど、その男は全く動じない。



「まあ、死にたいなら止めないけど…。
ここではやめてくんね?」

「…はあ?」

「ここ、俺結構気に入ってっからさ。
あんた、ここで死んだら暫く立ち入れないし、下手したら出入り禁止になるかもしれないし」


出入り禁止って、ここ元々鍵かかってたと思うんだけど。


この人はこのマンションの住人なわけ…?


てか、人が死ぬかもしれないのにこの態度…あり得るの?
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