生きることの意味【完結・加筆完了】
「君がもしかして、緋人の彼女?」
にっこりと笑うその男の人。
「はい、そうです」
一応。と心の中でだけ付け加えて。
「そうなんだね。緋人は結構ヤンチャだけど、一度心を許した人にはとっても優しい子だから」
「……」
「まあ、中に入れるまでにあいつは時間かかるけど。
だから、仲良くしてやって」
「はい」
「あ。名前は?」
「春瀬です」
「違う、下の名前」
「杏奈です」
「了解。杏奈ちゃん。俺の事はミレって呼んで。
これからまたスタジオで会ったらよろしく」
「ミレさん。よろしくお願いします」
「ミレでいいよ、ミレで」
「それじゃあ、ミレ」
「うん、いい感じ」
「あー。ミレ、俺の女口説かないで!」
戻って来た緋人がそう大きな声を出す。
何を言ってるんだ、緋人は。
そう、思って緋人の方を向く。
だけど、その姿を見てあたしは目を見張った。