生きることの意味【完結・加筆完了】
「いくよー。今日も緋人はカッコいいね」
「はは。さっすが~。ミレ。俺の事わかってる」
「いいね。その自信。こっちに頂戴」
そんな軽口叩いてるけど。
緋人がミレを見る視線は鋭い。
射抜かれそうなその瞳に、ドキッとしてしまう。
カシャカシャとカメラのシャッター音が響く。
気付けば緋人から目が離せなくなっていた。
「……杏奈ちゃん」
「え?あ、はいっ」
いつの間にか隣にいた桜井さん。
それにすら気付かないほど、あたしは緋人だけを見ていた。
「カッコいいでしょ。彼」
「はい。……悔しいですけど」
「はは。悔しいか。来週やるショーがね、渋谷であるんだけど…、JUNっていうブランド主催なの。
もしもそれが成功したら、緋人はJUNの専属としても活躍できるかもしれない」
「え。JUNですか」
JUNといったら、あたしですら知ってるメンズブランドだ。
「ただ…」
「ただ?」
桜井さんは緋人の事を見ながら、眉を顰める。
そんな桜井さんをあたしは見上げた。