無口な森下くんは死なせてくれない
自殺願望
001 自殺願望
***
「離してよ。」
「………」
「離してってば。」
意固地になって、私の腕を掴む手を
無理矢理引き離してキッと睨みつけた。
彼は、いつものように何も言わないし
いつものように表情一つ変えない。
それが、私のストレス指数を引き上げる。
こんなに雑な扱いを受けているんだから
反撃の一つでもしてみればいいのに
彼は何も言わない。
ただ黙って、私を見つめるだけ。
悲しそうな、哀れを帯びた目。
それがまた、イライラするんだ。