不純な理由で近づきました。
*プロローグ




春だなぁ……


机に肘をついてわたしはぼんやりと窓の外を見つめる。


窓の外では淡いピンク色をした桜の花びらが舞っていた。



今年は咲くのが遅かったから、四月の中旬の今でも桜が見頃、とかニュースで言ってたっけ。


そんなことを考えながらわたし、白崎 六花(しらさき りっか)はふと視線を下げた。


目に入った人だかり。



………なんだ、あれ。


めっちゃ女の子のかたまりだ。


よくよく見みると真ん中には男の子が二人いる。


どちらもタイプは違うけど、二人とも顔が整っていることが分かる。


メガネかけてるけど目がいいのはわたしの自慢だ。


メガネはダテね、ダテ。



それにしても、どこかで見たことあるような……


あ、思い出した。


あの二人って、入学当初からイケメンで有名っていう人たちじゃないかな。


教室の人たちが騒いでたし、噂になってたからなぁ。


まぁ、わたしは残念ながら面食いじゃないから興味は薄いけど。


その代わり……


これは言わなくてもいいか。



柔らかな、温かい風がわたしの頬を撫でた。


その温もりにつられるように、わたしは目を閉じて春の陽射しを感じた。







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