不純な理由で近づきました。
「六花、手のそれ何?」
「あ、これですか?ゼリーですよ」
わたしのお願い、というよりも我が儘でお邪魔するんだし。
何か持って行った方がいいのかな、と思ったのだけど……もしかして間違ってた?
いや、でも兄さんにも言われたし。
うん、ヘンに思われたら全て兄さんのせいにしておこう。
「そんな気づかいしなくてもよかったのに。
両親は仕事でいないし、姉と妹は揃って旅行中だから、今家にはボクしかいないんだ」
「そうなんですか?」
あちゃー…失敗したか。
カインくんの家族構成は分かっていたから、それプラスでちょっと多めに持ってきていたんだけど。
まぁ、ゼリーだし。賞味期限も先だから無駄にはならないだろう。
「あ、ここだよ」
へぇ、とわたしはカインくんの家を見上げる。