不純な理由で近づきました。



そんなこんな頭の中で回想していると、周りが静かなのに気がつく。



「……どうしたんですか?」



キョトン、とするわたしの耳には、次の瞬間



「「「えぇーーー!!?」」」



という叫び声が届いた。



あ、頭がガンガンする……


目眩を感じたと思ったら、ガクガクと肩を揺さぶられた。



「Sweet dreamと言ったら女の子たちに人気のあのブランド!?本当に!?
こんな近くにそんなすごい人がいたのぉ!?」


「ということは姉妹ブランドのSexy dreamもデザインしてるのかしら?
私あそこの服好きなのよ。感動だわ」



イリアさんとサユさんの興奮した声が耳に入る。


でも頭がグラグラして考えがまとまらず。



「ちょ、やめ……」



い、意識が飛びそう……


本気でそんなことが頭に浮かんだときに、揺さぶられるのはストップして。


助かった思ったときには、思いっきりきた前からの衝撃に体が傾く。


え、と思ったときには頭に鈍い痛みが走った。



「〜〜〜っっ、」



い、痛いっ……地味に痛い。


生理的に浮かんだ涙で滲む目を開ければ、赤茶色の髪が視界に入った。



「ユスラ、さん…?」


「……うぇっ…」



………え、泣いてる?


なぜ?と思わず思考がストップした。





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