不純な理由で近づきました。
わたし、何かしてしまったのか?
泣くほどに嫌なことをしてしまったの?
「あの、えーっと……よ、よしよし?」
なでなでと頭を撫でてあげる。
お願いだから泣き止んでほしい。
「ぐすっ、か、感激ですぅ〜〜っ」
「……はい?」
あ、頭撫でただけで?
どうして?なんで?
もう頭の中は『?』でいっぱい。
誰でもいいからこの状況をどうにかしてほしい。
「わ、ユスラがこんな取り乱したとこ久しぶりに見た」
ひょい、と視界にカインくんの顔が入る。
ちょっと眉を下げている表情は困っているようで。
「ユスラね、Sweet dreamの大ファンだから、そのデサイナーの……誰だっけ?」
「TOMOだよ、お兄ちゃん」
「あ、そうそう。
そのTOMOって人が近くにいただけじゃなくて、六花ちゃんのお兄さんだって聞いて、嬉しいのキャパシティーを越えちゃったんだね」
よしよし、とカインくんもユスラさんの頭を撫でてあげる。
そ、そんなに嬉しがってくれるなんて……
兄さんの性格があんなのだって分かったとき、どうしよう。
かなりのショックを受けるよね。