不純な理由で近づきました。
………うるさい。
耳に当ててなくてもふっつーに聞こえてるんですけど。
ギャアギャアと(主に兄さんが)うるさいケータイに向かってすぅ、と息を吸う。
「兄さんうるっさい!!ちょっと黙ってて!!」
怒鳴るように言えば、向こうから弱々しくはい、という声が聞こえた。
大声を出したせいか、みんな目を丸くしてわたしを見ていたけど、気にしたら終わりなのであえて電話に集中する。
『あはは、トモがいじけてるよー。
りっちゃんもきびしーねー』
クスクスと笑うナルちゃん。
ちょっと兄さんには悪かったかもだけど……うん。
今度またいっしょにお出かけしてあげよう。
「それでナルちゃん。さっき兄さんの言ってたことって?」
確か、今週の仕事がなくなったとかなんとか。
まさか、また兄さんが無理矢理休みをとったとかじゃないよね。
心配するわたしをよそに、ナルちゃんはマイペースにあぁ〜、と言って。
「トモがね、りっちゃんと遊びたいから〜ってマッハで仕事終わらせたんだよー。
だから今週は休んでいいよーって」
「そうなんだ」