不純な理由で近づきました。



兄さん……ズルい手を使ったんじゃないかと疑ってごめんね。


と、心の中で手を合わせておく。



「それでー、りっちゃんの都合とか大丈夫ならオレとトモとの三人で三泊ぐらいの旅行しよーかーって」


「本当?嬉しい!!」



あ、でも今は夏休み真っ盛りだし、ホテルとか空いてるところあるのかな。


まずは今夜中にそれを探さないと。


あとは、ボストンバックも押し入れから出して、洋服も準備して。


頭の中でやることを整理していると、ひょいっとケータイが奪われた。



「え、」


「あ、もしもし?あたし、六花ちゃんの友人でイリアって言います。
今ちょっと家で遊んでて、はい」


「わ、わたしのケータイ……」



え、どうしてイリアさんが?


いきなりの展開で思わず硬直。



ナルちゃんとなんの話をしているのだろう。



「それで、さっき旅行の話が出てたじゃないですか?
今からホテルとか予約するのも大変でしょう?

あたしたち、もともと今日から旅行の予定で、ホテルの予約がしてあるんですよぉ」



……ここまできたら大体の話の先が読めてしまう。


えぇっと、と目を丸くするわたしにニッコリとイリアさんは笑顔を浮かべる。




「よかったら、あたしたちといっしょに今から旅行に行きませんか?」







< 123 / 257 >

この作品をシェア

pagetop